「ウガー」のみで挨拶なし・・・ヒールを貫いた飯塚高史選手の引退試合

2月21日、クレイジー坊主の異名を持つ飯塚高史選手が約32年に渡るプロレスラー人生に終止符を打つべく、引退興行が行われました。

飯塚選手はヒールレスラーで、最近は鈴木軍に加入して試合をしていました。テレビで観戦したことがある方は、テレビ朝日の野上アナウンサーのシャツをビリビリに破ることでおなじみのあのレスラーです。

その2日前、世界的に有名なヒールレスラー、アブドーラ・ザ・ブッチャー選手の引退セレモニーが、『ジャイアント馬場没20年追善興行~王者の魂~』という興行の中で行われました。
ミル・マスカラス選手、武藤選手、坂口選手、スタン・ハンセン選手など、当時一緒にマットを盛り上げていたレスラーたちが駆けつけていました。こうした悪役レスラーはブッチャー選手が先駆者のようで、ヒールレスラーとしての生き方に誇りを持っていて、良いレスラー人生だったというコメントが印象的でした。

その様子がNHKの夜のニュースでも取り上げられ、プロレスがひとつの社会ニュースとして放送されているのが新鮮だなと思って見ていました。
対して飯塚選手の引退興行は、型破りな内容。
対戦カードはオカダカズチカ選手、天山選手、矢野通選手 VS 鈴木みのる選手、タイチ選手、飯塚選手でした。

SOUL SPORTS×新日本プロレス 長袖ジャージセット
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もう、天山選手が入っているだけで「アレのことか」と嬉しくなりますよね。そしてオカダ選手、矢野選手と盛り上げられる選手がしっかり固められていました。

一度は友情タッグが有名だった天山選手との友情が復活するか?という内容が盛り込まれ、「飯塚選手といえば思い浮かぶキーワード」が出てくるような試合内容でした。
野上アナ襲撃、2000年代の橋本選手と小川直也選手の抗争時、小川チームのパートナーである村上選手を下した伝説のスリーパー(ヒール転向前の技)も。

しかし、引退マッチだからこそのサプライズで、飯塚選手が更生するのを期待する観客。
こちらの期待以上に飯塚選手は、最後まで飯塚選手でした。
数日前の試合で、天山選手から昔作った「友情Tシャツ」で仲直りを提案されても、イス攻撃で拒否をアピール。
今回も「目を覚ませ!」と号泣する天山選手に訴えられ、友情Tシャツが登場。
そんなものは一ミリも響いていないとでもいいたいのか、天山選手にかぶせて技をかけたり、頭に噛み付いたりとむちゃくちゃ。プラス、実力派レスラーとして、歓声が湧くほどの技を天山選手にお見舞い。

結果的には天山選手に3カウントを取られてしまいますが、本人は「ウガー」(ヒールの飯塚選手はウガーとしか言葉を発しないキャラ)というだけで退場。
まさかの引退興行なのに本人の挨拶なし。
仕方なしに鈴木みのる選手が10カウントをならしてなんとなく締めるという、前代未聞の引退興行でした。
対戦相手の天山選手は、あんなにまだ動けるのに引退なんてもったいないと涙ながらに訴えていました。
何度か引退興行をみたことがありますが、こんなにしっかりお客さんの期待に答えて、役を貫くのがプロなのでしょうね。

飯塚選手のように、大ブレイクはしなかったものの、地味なベテランレスラーとヒールとしてそっといなくなるという引き際。かっこよすぎます。
個人的には今年のベストバウトに絶対いれたい試合でした。

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